VC4SL の充電時などの挙動について

概要

 VC4SL という充電器を買って使っているのですが、充電時などにどのような動作をしているのかが気になったので、分解をせずに出来る範囲で動作を調べてみました。
 VC4SL は Amazon で購入しました。

簡単なまとめ

 以下は全て Ni-MH 充電池の場合となります。

  • 充電時に最初は 150mA で充電を行い、問題無ければ 500mA で充電を行う。
  • 充電時は充電池の出力電圧を確認して充電を続けるかを判断していると思われる。
  • 充電時の充電継続の判断は充電池の出力電圧が前回と比較して増加したか、で判断していると思われる。
  • 充電完了後、補充電としてパルス充電を行っていると思われる。
  • 電流印可時と非電流印可時に電圧差がある場合、非電流印可時の電圧を充電池の出力電圧としていると思われる。
  • 放電時は 300mA で放電を行う。
  • 放電の終止電圧は約 0.9V と思われる。

測定について

 グレーディングモード(grading mode) という充電池を満充電し、その後に放電して容量を測定し、その後に充電を行って満充電状態にする、というモードがあります。
 こちらの挙動を調べることによりどのように充電・放電を行っているかを確認します。
 手持ちには Ni-MH 充電池しかありませんので、こちらで測定を行っています。ちょっと古めの eneloop を測定しています。

測定条件について

 測定に使用した機器は以下の機器となります。

 電子負荷は定電流モード(CC)を使用し、放電電流値を設定して充電池を放電して容量を減らすために使用しています。
 デジタルマルチメータ 34470A は電圧を測定するために使用しています。細かい設定は測定により変更していますので、測定項目毎に記載します。
 デジタルマルチメータ 34410A は電流を測定するために使用しています。こちらも同じように設定は測定毎に変更しています。
 測定環境としては Windows11 で python の pyvisa などを使用して測定を行っています。グラフを作るのも jupyter notebook でメモを取りつつ python の matplotlib.pyplot などを使ってグラフを作成しています。

測定項目

 以下に測定を行った内容と結果を列挙していきます。同じような内容を測定していますが、測定を行った順に測定結果を書いています。

電圧の測定

 グレーディングモード時の VC4SL の出力電圧を測定しました。

電圧の測定条件

 測定条件としては以下の測定条件となります。

  • 電圧測定 : 34470A, V Range = 10V, NPLC = 10
  • 電圧測定後に time.sleep(5) を待って再度電圧測定、を繰り返します。
  • 測定はおおよそ 6 秒毎に行われます。

 電圧測定を 34470A で行っていますが、V Range は 10V Range 固定にしています。
 NPLC (Number of Power Line Cycle) は積分時間を表していて、数値が大きいと積分時間が大きくなってより精度の高い測定が出来ます。10 の場合で商用電源周波数が 50Hz の場合は 1/50*10=0.2 秒間の積分を行って結果を得ています。
 接続は以下のように接続を行い測定を行っています。

VC4SL 電圧測定時

 VC4SL と充電池が接触する箇所で電圧を測定しています。

電圧の測定結果

 時間と電圧をグラフにすると以下のようなグラフとなりました。
 容量値測定後に充電を行うのですが、その途中で測定を止めてしまったため充電は終わっていません。

VC4SL グレーディングモード時の電圧測定結果

 充電を開始して徐々に電圧が上がって、一定電圧になったため充電完了と判断して放電を開始し、0.92V まで電圧が下がったら放電を終えて、充電を再度開始しているようです。
 充電時の全体を確認してみると以下のようがグラフとなりました。

VC4SL 充電時の電圧測定結果

 最初に 1.3V ぐらいから徐々に電圧があがり、500 秒ほど経過した後に一気に電圧が上がっているようです。
 充電時の一部を拡大すると

VC4SL 充電時の電圧測定を一部拡大

 周期的に電圧が下がっているようですが、測定間隔が長いためかこのような波形として見えてしまっています。

電圧・電流の測定

 電圧だけでは良く分からなかったため、同時に電流も測定してみることにしました。

電圧・電流の測定条件
  • 電圧測定 : 34470A, V Range = 10V, NPLC = 10
  • 電流測定 : 34410A, I Range = 1A, NPLC = 10
  • 電圧・電流測定後に time.sleep(5) を待って再度電圧・電流測定、を繰り返します。
  • 測定はおおよそ 6 秒毎に行われます。

 接続は以下のように接続を行っています。

VC4SL 電圧/電流測定時

 + 側に電流計を入れて、電圧は充電器側の電圧を測定するように接続を行っています。充電器側からの電流が + 側で、電池からの電流は - 側として見えるように接続されています。

電圧・電流の測定結果

 時間と電圧・電流をグラフにすると以下のようなグラフになりました。

VC4SL グレーディングモード時の電圧/電流測定結果

 充電・放電・充電・補充電の時間はそれぞれ

  • 充電 = 0~16000 秒
  • 放電 = 16000~36000 秒
  • 充電 = 36000~51000 秒
  • 補充電 = 51000~56000 秒

で行われています。
 その他、気が付いた点を列挙しておきます。

  • 充電時の電流は約 0~500mA まで変化し、電圧は 1.9V ぐらいまで上がる。
  • 放電時の電流は約 300mA で固定。
  • 放電の終止電圧は約 0.92V
  • 放電後に同じように充電が行われる。
  • 充電が終わった後に 150mA を短時間流し込む充電が行われ、その後に充電は行われない。

 充電時の全体を確認すると以下のようなグラフになりました。

VC4SL 充電時の電圧/電流測定結果

 充電時の最初を確認すると以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電開始時の電圧/電流測定結果

 周期的に電圧が下がってから電流が下がり、電流値が 500mA になってからも同じような動作を繰り返しています。
 充電終了時のグラフは以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電終了時の電圧/電流測定結果

 電流が 0A になってから電圧が下がり、放電が開始されています。
 2回目の充電後、150mA でパルス充電を行っているようです。

VC4SL パルス充電時の電圧/電流測定結果

電圧・電流の測定その2

 積分時間を短く、さらに測定間隔を短くして電圧・電流を測定してみました。

電圧・電流の測定条件その2
  • 電圧測定 : 34470A, V Range = 10V, NPLC = 1
  • 電流測定 : 34410A, I Range = 1A, NPLC = 1
  • 電圧測定後に time.sleep(1.8) を待って再度電圧測定、を繰り返します。
  • 測定はおおよそ 2 秒毎に行われます。

 接続は先の電圧・電流の測定条件と同じです。
 前回の電圧・電流測定時にはあまり気にせずに接続を行ったため接触抵抗が大きめだったと思われます。今回は接触抵抗が出来るだけ大きくならないように調整を行って測定を行っています。

電圧・電流の測定結果その2

 時間と電圧・電流をグラフにすると以下のようなグラフになりました。

VC4SL グレーディングモード時の電圧/電流測定結果その2

 充電・放電・充電・補充電の時間はそれぞれ

  • 充電 = 0~13500 秒
  • 放電 = 13500~33600 秒
  • 充電 = 33600~47700 秒
  • 補充電 = 47700~54800 秒

で行われています。
 その他、気が付いた点を列挙しておきます。

  • 充電時の電流は約 0~500mA まで変化し、電圧は 1.75V ぐらいまで上がる。電圧は前回と比較して下がった。
  • 放電時の電流は約 300mA で固定で前回と同じ。
  • 放電の終止電圧は約 0.92V で前回と同じ。
  • 放電後に同じように充電が行われるのも同じ。
  • 充電が終わった後に 150mA を短時間流し込む充電が行われ、その後に充電は行われないのも同じ。

 配線の接触抵抗が下がったため、電圧も下がったと思われます。

 充電時の全体の波形を確認すると以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電時の電圧/電流測定結果その2

 充電開始時の波形は以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電開始時の電圧/電流測定結果その2

 150mA で充電を開始し、電流を 500mA にした後は定期的に電流を下げて充電池が出力している電圧を測っているようです。
 充電終了時の波形を拡大すると以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電終了時の電圧/電流測定結果その2

 電流を絞って電圧の測定を行い、充電池の出力電圧が増加していないため充電完了としているようです。その後に放電を開始しています。
 2度目の充電完了後、パルス充電を行っているようです。その際のグラフは以下のようなグラフとなり、約 47700 秒後からパルス状の波形で充電を行っているようです。

VC4SL パルス充電時の電圧/電流測定結果その2

電圧の測定その2

 プログラムを sleep で待つのではなく schedule と daemon を使い、さらに NPLC も短くして電圧のみを1秒毎に測定を行ってみました。

電圧の測定条件その2

 測定条件としては以下の測定条件となります。

  • 電圧測定 : 34470A, V Range = 10V, NPLC = 0.02
  • schedule を使用して1秒毎に電圧測定を繰り返します。
  • 測定はおおよそ 1 秒毎に行われます。

 接続は以前の電圧の測定条件と同じです。

電圧の測定結果その2

 時間と電圧をグラフにすると以下のようなグラフとなりました。

VC4SL 充電時の電圧測定結果その2

 挙動としては前回と同じような挙動となっています。
 充電時の波形全体は以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電時の電圧測定結果その2

 充電開始時の波形は以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電開始時の電圧測定結果その2

 充電終了時の波形は以下のようなグラフとなります。

VC4SL 充電終了時の電圧測定結果その2

 2度目の充電完了後に行われるパルス充電の波形は以下のようなグラフとなります。

VC4SL パルス充電時の電圧測定結果その2

 電圧のみの測定の場合でも測定間隔が1秒ではまだ不足しているかと思います。

雑感とかメモ

 少しずつ条件を変えて電圧のみの測定を2回、電圧・電流の測定を2回行ってみて、おおよそどのような充電と放電試験を行っているかは分かったような気がしています。
 使用している値の正しさはちょっと分かりませんが、ある程度きちんと制御を行って充放電を行っているんだなと思いました。マイコン制御だなーという挙動でしょうか。

充電方式について

 充電方式としてはニッケル水素組電池専用充電器 │ 製品情報 │ FDK株式会社に記載してある充電方式を参考にしました。以下に画像で申し訳ないですが引用すると

充電方式

 となります。
 -ΔV制御充電方式っぽいかなと。補充電としてパルス充電を行っているようですが、終了条件がいまいち分かりませんでした。

VC4SL の電圧の測定に関して

 電流を測定するための電流計と電圧を測定するための電圧計は以下のような接続になります。

電圧・電流測定時の接続

 電圧計の抵抗値は 10Gohm のため、ほぼ影響は無いと思われます。
 電流計は 0.1ohm のため、電流が大きくなると電圧の影響が見えてきます。たとえば 1A 流れると 0.1V の差分として見えてしまいます。
 今回は 0.5A 程度流すため、電流計の部分だけで 0.05V の差分として見えます。さらに配線の抵抗値などもあるため 0.2V 程度が差分として見えてしまっています。Ni-MH 充電池の場合は公称電圧が 1.2V のためこの差は大きいです。
 VC4SL は充電時に電流を流さずに電圧を測定しているようですが、おそらく接触抵抗などの影響を無くすための機能だと思われます。これがあるために電流計を入れても測定が行えたのかと考えています。