フレームマイスター FRAMEMEISTER XRGB-miniでF3を映す

 フレームマイスターではF3が映らなかったのですが、twitterを見ていたところokazさんが JROK Sync Cleaner を Csyncに入れると画面の上部が歪むが映るよ、とおっしゃっていたのでいろいろと話を聞いてみたところ、予備の物を貸して貰えることになったので試してみました。
 試してみたところ下記画像のように画面上部が右に若干ながれてしまっていました。

 回路の定数などを見て同じ回路を作ってみたところ、同じように画面の上部が流れてしまっていました。こういうものなのかと思いながら各部の信号を見ていたところ、どうも電源周りの配線が良くないのではないかと思い、電源とGNDに気をつけて再度作り直したところ問題無く映るようになりました。

追記1

 基板を作成して複数のEL1883を使用して動作確認を行ったところ、同様に画面の上部が流れる症状が再現しました。調べてみたところ、画面が流れる基板に載っているEL1883を、画面が流れない基板に載せ替えても同様の画面となりました。複数のEL1883で同じテストを行ったところ、画面が歪む症状はEL1883に付いてきました。そのため個体差により画面上部の歪みが発生していると思われます。11個動作確認を行いましたが、3個で画面上部の歪みが発生しました。そのため、画面上部の歪みが発生した場合は別のEL1883に交換すると改善される可能性がありますが、100%では無いと思われます。

追記2.

 さらにいろいろと試してみて調整を行うことが出来ましたので書いておきます。どのEL1883でも画面上部の歪み無しで表示出来るようになります。
 原因は二つありました。
 一つ目はEL1883のCOMPOSITE VIDEO IN (pin2)に入力している電圧が大きすぎました。下記回路図では基板からのCSyncの電圧が5Vppの場合、5.0/(562+1e+3)*1e+3=3.2Vppの電圧が見えます。
 EL1883のデータシートを見るとInput Dynamic Rangeとして0.5~2Vppとなっています。3.2Vはでかすぎです。1kΩの抵抗を小さくしてこの範囲に収まるようにします。


 二つ目はRSET(pin6)に681kΩで誤差1%の抵抗を繋ぐようになっていますが、これを調整出来るようにすると画面の歪みが無くなります。
 RSETの意味を知るためにデータシートを見ると、HSyncの周波数やIC内部で使用しているクロックなど諸々に影響があり、入力信号の周波数が高い場合はRSETの抵抗値を小さくしてね、などと書かれています。こちらの抵抗を抵抗+ポテンショメーターで調整出来るようにし、600kΩ~700kΩの間で調整出来るようにして抵抗値を減らす方向に調整したところ、画面上部の歪みも無く綺麗に映るようになりました。


 一つ目が影響として大きい(元のままだとRSETの抵抗値を相当下げないと画面上部の歪みが直らない)のですが、上記二つを修正することにより画面上部の歪みも無く、さらに調整が可能になります。

 画面の幅が違いますが、これはフレームマイスターの設定を変えてしまったからです。


 回路図は下記の回路となります。

 Sync Separator としてVideo Sync Separators | Renesas Electronicsを使用しています。EL1883で出力されるH,Vsyncを74F86で合成し、反転して出力しています。最後の反転はフレームマイスター側で良きに計らってくれますので必要ないかもしれません。
 JROK sync cleaner とは入力部のフィルタの定数などを変えてあり、EL1883のデータシートに Chroma Filter として記載してある 620Ω, 510pF のフィルタ(遮断周波数は約503kHz)を作成したかったのですが、同じ抵抗などが無かったため手持ちにあった 562Ω, 560pF のフィルタ(遮断周波数は約505kHz)にしています。また、入力部に終端抵抗として適当な抵抗を入れないと電圧が大きすぎて画面が乱れるため1kΩを入れています。


 EL1883は表面実装部品しか無いため、秋月電子通商で売られているSMDプロトタイピングガラスユニバーサル基板(0.3mm厚)Cタイプ(72x47mm): パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販を使い、うまく足を載せるとピンがショートせずに実装出来るためこちらを使用しています。EL1883と74F86はdigikeyなどで購入出来ます。
 実際に実装する場合はGNDおよび+5Vは出来るだけ短く太く配線を行い、GNDはループ状の配線にならないように注意をしてください。
 今回試しに実装を行った回路は

このような配線を行っています。茶色がCsync inで黄色がCsync outとなり、赤が+5Vで黒がGNDとなります。
 なかなか配線が大変のように見えますが、慣れると案外作れますので挑戦してみるのも良いかと思います。需要があれば基板を作ってしまっても良いのかもしれませんが、JROK sync cleanerは海外通販で買えるので、それを買うのが良いのかもしれません。画面の上部が歪んでしまうのですが、ゲームを遊ぶ分にはとりあえず大丈夫かなと。


 okazさん、長期間基板を貸していただきありがとうございました。

F3が映るように調整可能なCSync Cleaner基板ですが、後ほど販売予定です。しばらくお待ちください。
こちらで販売を開始しました。
同様の機能を持ち、ボタンの再割り当てなどの機能を追加した基板の販売をこちらで開始しました。